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難治性頭痛の中に隠れる脳脊髄液漏出症とは?脳脊髄液静脈瘻(CVF)を含めて脳神経外科医が解説

2026/3/21

    難治性頭痛の中に隠れる脳脊髄液漏出症とは?脳脊髄液静脈瘻(CVF)を含めて脳神経外科医が解説

    長く続く頭痛の中には、片頭痛や緊張型頭痛だけではなく、脳脊髄液漏出症(特発性頭蓋内圧低下症)が含まれていることがあります。とくに近年は、脳脊髄液静脈瘻(CVF:cerebrospinal fluid-venous fistula)という病態が、難治性頭痛の原因として注目されています。2026年に報告された日本人症例の検討では、3回以上の硬膜外自家血注入(EBP)でも改善しない難治例のうち、脊髄硬膜外液貯留を認めない患者群でCVFが高率に見つかりました。(J-STAGE)

    横浜市南区井土ヶ谷で頭痛にお悩みの方の中にも、一般的な頭痛治療だけでは説明しきれない症状が隠れていることがあります。当院の頭痛外来では、危険な頭痛の見分けやMRIを用いた評価を行っています。
    https://www.idogaya-nouge.com/headache-outpatient
    https://www.idogaya-nouge.com/mri

    (井土ヶ谷脳神経外科・内科 頭痛・めまい・しびれクリニック)

    症状概要

    脳脊髄液漏出症では、立つと悪化し、横になると軽くなる起立性頭痛が代表的です。ただし、実際にはめまい、首の重さ、だるさ、音や光への過敏、集中しづらさなどを伴うこともあり、典型的な頭痛だけではありません。今回の日本人難治例の報告でも、対象患者の90%に起立性頭痛がみられ、頭痛に加えてめまい、過敏症状、ぼんやり感を伴う症例が含まれていました。(J-STAGE)

    難治性頭痛として経過している患者さんの中で、次のような特徴がある場合は脳脊髄液漏出症を疑うきっかけになります。

    立位や座位で悪化し、横になると軽くなる

    典型的な所見です。朝は比較的ましでも、午後になるとつらくなることがあります。(PubMed)

    頭痛にめまいやふらつきを伴う

    脳脊髄液圧の低下により、頭痛だけでなく平衡感覚の異常を伴うことがあります。めまいが前面に出る患者さんもいます。
    https://www.idogaya-nouge.com/dizziness (J-STAGE)

    片頭痛治療や一般的な鎮痛薬で改善が乏しい

    難治性頭痛として扱われていても、原因が脳脊髄液漏出症であれば治療の方向性が異なります。特に複数回のEBPでも改善しない場合、CVFを含めた精査が重要です。(J-STAGE)

    原因

    脳脊髄液漏出症は、脳や脊髄を包む硬膜のどこかから脳脊髄液が漏れ、頭蓋内の圧が低下することで起こります。従来は硬膜の裂け目から脳脊髄液が漏れるタイプが主に想定されてきましたが、近年はCVFという別のタイプが重要視されています。(J-STAGE)

    脳脊髄液静脈瘻(CVF)とは

    CVFは、脳脊髄液が硬膜外にたまるのではなく、脊髄周囲で静脈系へ異常に流れ込む病態です。このため通常の脊椎MRIで「漏れている液体のたまり」がはっきり見えないことがあります。今回の論文でも、脊髄硬膜外液貯留がないSLEC陰性例7例のうち6例、つまり85.7%でCVFが見つかりました。(J-STAGE)

    なぜ見逃されやすいのか

    CVFは、一般的な画像検査では捉えにくいことがあります。脳MRIで頭蓋内圧低下を示唆する所見があっても、脊椎MRIで典型的な漏出像がないと、診断が遅れることがあります。論文でも、症状持続期間の中央値は13年で、10年以上経過している患者さんが多く含まれていました。(J-STAGE)

    危険サイン

    すべての頭痛が脳脊髄液漏出症ではありません。次の症状がある場合は、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳梗塞など緊急性の高い病気も考える必要があります。

    突然の激しい頭痛

    手足のしびれや麻痺

    ろれつが回らない

    意識がぼんやりする

    発熱や項部硬直を伴う

    これまでにない頭痛が急に出た

    このような場合は、まず危険な脳疾患の除外が優先です。しびれを伴う場合は脳卒中などの鑑別も必要です。
    https://www.idogaya-nouge.com/numbness (井土ヶ谷脳神経外科・内科 頭痛・めまい・しびれクリニック)

    代表疾患解説

    難治性頭痛の鑑別では、症状だけで決めつけず、複数の病態を整理して考えることが重要です。

    片頭痛

    拍動性の痛み、吐き気、光や音に対する過敏が特徴です。ただし脳脊髄液漏出症でも光過敏や音過敏を伴うことがあり、紛らわしいことがあります。
    https://www.idogaya-nouge.com/migraine

    緊張型頭痛

    重い、締め付けられるような頭痛です。慢性化しやすい一方で、起立で悪化・臥位で改善というはっきりした体位依存性は目立たないことが多いです。
    https://www.idogaya-nouge.com/blog/yokohama-kincyougata-zutsuu-mri (井土ヶ谷脳神経外科・内科 頭痛・めまい・しびれクリニック)

    脳脊髄液漏出症

    起立性頭痛、めまい、頚部不快感、集中力低下などを伴い、脳MRIで頭蓋内圧低下を示唆する所見が手がかりになります。日本人難治例の報告では、Bern scoreを用いて脳MRI所見を評価していました。(PubMed)

    脳脊髄液静脈瘻(CVF)

    脳脊髄液漏出症の一部を占める重要な病態です。論文ではCVFはすべて胸椎レベルにあり、神経根憩室に関連していました。SLEC陰性でも存在しうるため、通常のMRIだけで否定できません。(PubMed)

    検査(MRI役割)

    難治性頭痛で脳脊髄液漏出症を疑う場合、検査は段階的に進めます。

    脳MRI

    まず重要なのが脳MRIです。硬膜のびまん性増強、静脈の怒張、鞍上槽や橋前槽の狭小化、乳頭体橋間距離の短縮などは、頭蓋内圧低下を示唆します。論文の症例でも、SLEC陰性にもかかわらず脳MRIでこれらの異常が確認され、CVF診断のきっかけになっていました。
    https://www.idogaya-nouge.com/mri (J-STAGE)

    脊椎MRI

    脊髄硬膜外液貯留(SLEC)があるかを見ます。SLEC陽性なら通常の漏出部位を想定しやすい一方、SLEC陰性ではCVFの可能性を考える必要があります。(PubMed)

    DSM(デジタルサブトラクションミエログラフィー)

    CVFを見つけるうえで極めて重要な検査です。論文では、3回以上のEBPでも改善しない患者を対象にDSMを行い、SLEC陰性例で高率にCVFを検出しました。CVFが疑われる難治例では、通常のMRIだけでなくDSMが診断の鍵になります。(J-STAGE)

    DSM後CT

    論文では、DSM後のCTで腎盂への造影剤集積が、CVFやSLEC陽性例の間接所見として有用でした。陽性所見を伴う症例の88.9%で腎盂への造影剤集積がみられています。(J-STAGE)

    治療

    脳脊髄液漏出症の治療は、漏出のタイプによって異なります。

    保存的治療

    安静、水分管理、症状に応じた対症療法が行われます。ただし、長期間続く難治例ではこれだけで十分でないことがあります。(PubMed)

    硬膜外自家血注入(EBP)

    従来から行われている治療です。ただしCVFでは、EBPを繰り返しても十分な改善が得られないことがあります。今回の論文は、3回以上のEBPでも改善しない患者群を対象としており、その中にCVFが多く含まれていました。(J-STAGE)

    経静脈的塞栓術(TVE)

    CVFが正確に同定された場合の治療選択肢です。論文ではCVFと診断された6例すべてにOnyx-18を用いたTVEが行われ、全例で術前症状の改善がみられました。引用先として紹介された100例の報告でも、症状改善率83%、合併症率3%で、永続的神経障害はありませんでした。(J-STAGE)

    脳神経外科受診理由

    難治性頭痛で脳神経外科を受診する意義は、単なる鎮痛薬の調整ではなく、脳疾患や脳脊髄液漏出症を画像と神経学的診察で見極められることにあります。

    危険な頭痛を除外できる

    MRIで頭蓋内圧低下を疑う所見を確認できる

    しびれやめまいなど随伴症状もまとめて評価できる

    一般的な頭痛治療で改善しない場合に次の検査へつなげられる

    横浜市南区井土ヶ谷で、長引く頭痛、立つと悪化する頭痛、めまいを伴う頭痛がある場合は、脳神経外科での評価が重要です。
    https://www.idogaya-nouge.com/headache-outpatient
    https://www.idogaya-nouge.com/dizziness (井土ヶ谷脳神経外科・内科 頭痛・めまい・しびれクリニック)

    受診目安

    次のような場合は受診をおすすめします。

    頭痛が数か月以上続いている

    起立で悪化し、横になると軽くなる

    頭痛にめまい、耳の違和感、しびれ、集中力低下を伴う

    片頭痛治療や鎮痛薬が効きにくい

    MRIで異常なしと言われたが症状が続く

    EBP後に一時的に良くなっても再発する

    当院診療

    井土ヶ谷脳神経外科・内科 頭痛めまいしびれクリニックでは、横浜エリアで頭痛、めまい、しびれを専門的に診療しています。難治性頭痛の中には、片頭痛だけでなく脳脊髄液漏出症やCVFのように、通常診療では見逃されやすい病態が含まれることがあります。当院ではまず脳神経外科専門医が症状の経過、体位による変化、神経症状の有無を丁寧に確認し、必要に応じてMRIで脳疾患や頭蓋内圧低下を疑う所見を評価します。
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    よくある質問(FAQ)

    脳脊髄液漏出症は片頭痛とどう違いますか?

    脳脊髄液漏出症では、立つと悪化し横になると軽くなる体位依存性が手がかりになります。一方で、吐き気や光過敏など片頭痛に似た症状を伴うこともあり、鑑別には脳神経外科での評価が重要です。

    脳脊髄液静脈瘻(CVF)は通常のMRIでわかりますか?

    脳MRIで頭蓋内圧低下を疑う所見が見えることはありますが、CVFそのものは通常のMRIだけで明確に分からないことがあります。SLEC陰性の難治例ではDSMが重要です。(J-STAGE)

    難治性頭痛の患者さんの中にCVFは多いのですか?

    今回の日本人難治例の検討では、SLEC陰性例7例のうち6例でCVFが検出されました。難治性頭痛すべてに多いという意味ではありませんが、疑うべき患者群では重要な原因です。(J-STAGE)

    EBPで治らないときはどうなりますか?

    原因がCVFであれば、EBPを繰り返しても十分な改善が得られないことがあります。その場合はDSMで病変を同定し、適応があれば経静脈的塞栓術などが検討されます。(J-STAGE)

    めまいやしびれがあっても脳脊髄液漏出症の可能性はありますか?

    あります。頭痛にめまい、過敏症状、ぼんやり感などを伴う症例が報告されています。ただし脳卒中など別の病気もあるため、自己判断せず脳神経外科での評価が大切です。(J-STAGE)

    まとめ

    難治性頭痛の中には、脳脊髄液漏出症が隠れていることがあります。さらにその中には、通常の脊椎MRIでは見つけにくい脳脊髄液静脈瘻(CVF)が含まれます。2026年の日本人を対象とした報告では、3回以上のEBPでも改善しない難治例、特にSLEC陰性例でCVFが高率に検出されました。起立で悪化する頭痛、めまいを伴う頭痛、長年原因不明の頭痛が続く場合は、片頭痛だけで片づけず、脳脊髄液漏出症まで含めて評価することが重要です。(J-STAGE)

    症状 → 疾患 → 検査 → 治療 → 外来 という流れで考えると、難治性頭痛の診療では、まず頭痛やめまいなどの症状を丁寧に整理し、脳脊髄液漏出症やCVFを鑑別に挙げ、MRIや必要な画像検査で評価し、病態に応じた治療へつなぎ、最後に適切な頭痛外来受診へ結びつけることが大切です。
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