めまい

めまい。「危険なめまい」と「めまいの症状」

仕事中や、食事中、はたまた入浴中等に突然感じる「めまい」。急に意識が遠のくような、落ちるような感覚や、景色がグルグル回転して気持ち悪くなる、、、などできれば体験したくないのがめまい症状です。めまいを感じるととても不安な気持ちになります。「危険なめまい」はどのようなものなのかしっかりとした知識を持っていれば不安も解消されるはずです。

今回は「危険なめまい」について日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医である院長宮崎が、ご説明いたします。

めまいで不安を感じた場合、まず大切なのは頭の中の異常をしっかり調べることです。当院は当日MRI検査を徹底しており不安な症状の原因を即日に調べることが可能です。少しでも早く不安な気持ちを拭い去って安心な日々を送って頂きたいと常に願っております。

めまいで不安な方は一度当院へご相談ください。

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めまいの随伴症状・「危険なめまい」のサインについて

それでは以下の目次に沿って、「危険なめまい」について解説していきます。


この記事を読むと以下の3つのことがわかります。

<目次>

  1.  「危険なめまい!」は「中枢性めまい!」:脳からくるめまいは危険
  2.  「危険なめまい=中枢性めまい」の特徴
  3.  「危険なめまい=中枢性めまい」の原因は何か!?
  4.   まとめ

1.「危険なめまい!」は「中枢性めまい!」:脳からくるめまいは危険

めまいは、体の動きや傾きを検知する平衡感覚を伝える経路のどこかに病変があると生じます。めまいを感じる病気はたくさんありますが、この経路のどこに病変があるかによって大きく2つに分類できます。

  • 「末梢性めまい」耳に異常があって生じるめまい
  • 「中枢性めまい」頭の中に異常があって生じるめまい

末梢性めまい

1つ目は、「末梢性めまい」です。耳の奥にある内耳や前庭神経といった回転や落下運動などの重力を感じる末梢の感覚器が障害されて起こります。いわゆる耳の病気で、頭の検査を行い異常がないことを確認することで診断可能な場合が多いです。

中枢性めまい

3つ目は「中枢性めまい」です。脳幹や小脳といった頭の中の脳の一部の障害や脊髄の圧迫などが原因で起こります。脳や脊髄は中枢神経なので中枢性めまいと呼びます。この中枢性めまいの中でも特に脳の異常が原因のめまいが「危険なめまい」です。

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※例外「前失神によるめまい」

「前失神によるめまい」は失神を起こす直前に感じるめまいです。心臓の病気である不整脈や重度の貧血により、適切な血流が脳に届かないため、意識を失ったり、頭が回るときにおきるめまい症状です。これらの症状が重度の場合、適切な検査と処置を行わないと命にかかわることがあります。詳しくはこちらの記事を参照ください(作成中  )

2.「危険なめまい=中枢性めまい」の特徴

「危険なめまい=中枢性めまい」の特徴は

  • めまい以外の神経症状が同時に起こる
  • 症状が持続する
  • 座っていても、横になっていても良くならない

中枢性めまいにおいては脳に異常があるため、めまい症状以外にも脳の損傷により「めまい以外の神経系の症状が同時に自覚される」という特徴を持ちます。また脳の障害は一度起こると後遺症となり回復するまでには年単位の時間がかかる、もしくは治らない事もあるため症状が持続し、体勢によって症状が変化しないといった特徴があります。

めまい以外の神経症状には以下のようなものがあります。

  •  ものが二重に見える(複視)
  • 呂律がまわらない、言葉がもつれる(構音障害)
  • ものが飲み込みにくい、誤嚥してしまう(嚥下障害)
  • 手足や顔が動かしにくい(手足の運動障害)
  • 手足や顔の感覚が鈍い、しびれがある(手足の感覚障害)
  • 手足をなめらかに動かせない、手足を目標まで正しく持っていけない(手足の運動失調)
  • 起立・歩行時・座っている時にふらつく(体幹の運動失調)

 

脳幹は大脳と脊髄をつなぐ位置にあり、12種類の脳神経のうち10種類が脳幹から出ています。脳神経とは、顔や首に位置する筋肉の運動や、温痛覚、触覚、自律神経の調節を担当する神経です。脳幹に病変があると、眼球を動かす筋肉、発声のための筋肉、ものを飲み込むときに使う筋肉などを支配する脳神経の障害によって、上記のような神経症状が現れます。

また、脳幹には首より下の感覚の通り道と筋肉を動かす命令の通り道も存在しています。よって、脳幹の病変では手足が動かしにくい、歩きにくい、温度や痛みを感じにくい、しびれがある、などの様々な神経症状が現れます。

 小脳は脳幹の後ろに位置し、いくつかの筋肉の動きの強さやタイミングを調節することで、日常生活における様々な動作をスムーズに行うことを可能にしています。よって、小脳の病変では、手足や体幹の運動失調が見られます。

 

めまい以外の神経系の症状を自覚していない場合は、内耳や前庭神経の障害で起こる「末梢性めまい」である可能性が高いです。末梢性めまいでは、耳鳴りや難聴などの耳の症状を伴うことがあります。

末梢性めまいは、中枢性めまいよりも頻度は高いものの、比較的緊急性の低い病気が多く、良性のめまいであると言えます。

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3.「危険なめまい=中枢性めまい」原因は何か!?

危険なめまいの原因となる脳の病気で緊急に対応が必要なのは以下の3つです。

  • 脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)
  • 脳腫瘍
  • 脳炎

脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)

「脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)」は「危険なめまい=中枢性めまい」の原因の中で最も急いで治療が必要な病気です。脳を栄養する血管の壁が破れる脳出血や、脳の血管が詰まって組織が壊死してしまう脳梗塞、動脈瘤が破裂することにより起こるくも膜下出血です。どれも早急な診断と、早急な治療が必要な病気です。治療が遅れてしまうと重篤な後遺症が残ってしまったり、命にかかわることもあるからです。

急性のめまい患者さんの4~15%が脳卒中を原因としているという統計も存在しております。高齢、糖尿病・高血圧・脂質異常症の既往、喫煙や大量飲酒の習慣、肥満などのリスク因子を持つ人は、特に脳卒中を疑う必要があります。 

脳腫瘍

腫瘍の場所によって、めまいやその他の様々な神経症状を引き起こします。脳卒中と比べると比較的症状の進行や、処置のタイミングはゆっくり行えますが、治療が必要です。

  • バランスと協調性を制御する小脳や脳幹の腫瘍: 小脳や脳幹は、バランスと身体の協調性を制御する役割を担っています。これらの部分に腫瘍が発生すると、めまいや歩行困難などの症状が現れます。
  • 内耳への影響(聴神経鞘腫): 内耳は、バランスを制御する重要な部分です。聴神経腫瘍(聴神経鞘腫)のように、脳と内耳をつなぐ神経に影響を及ぼす腫瘍もめまいを引き起こします。
  • 頭蓋内圧の上昇: 脳腫瘍が拡大しすると、頭の中の圧力(頭蓋内圧)が上昇します。これにより、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が出現します。水頭症という状態になると意識障害が発生し命に関わることがあります。

脳炎

 ウイルスや細菌などのばい菌の感染によって脳の炎症が起き、種々の神経症状が現れます。早期に診断し適切な治療を行わないと重篤な後遺症が残存します。命にかかわることもあります。

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4.まとめ

 急性のめまいの大半は良性の末梢性めまいですが、上で挙げたような様々な神経症状を伴う「危険なめまい=中枢性めまい」であった場合命に関わることもあります。

ご自身の症状に当てはまるところがあれば、そのままにせず、必ず医療機関を受診してMRI検査を受けましょう。

繰り返しになりますが めまいで不安を感じた場合、まず大切なのは頭の中の異常をしっかり調べることです。当院は当日MRI検査を徹底しており不安な症状の原因を即日に調べることが可能です。少しでも早く不安な気持ちを拭い去って安心な日々を送って頂きたいと常に願っております。

めまいで不安な方は一度当院へご相談ください。

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参考文献

  1. イヤーノート2023
  2. 矢崎義雄編『朝倉内科学 第11版 Ⅴ血液・造血器 神経系 環境要因・中毒』朝倉書店
  3. Andreas Zwergal, Marianne Dieterich. Vertigo and dizziness in the emergency room. Current Opinion in Neurology, 2020; 33: 117-125
  4. Michael Strupp, Julia Dlugaiczyk, Birgit Bettina Ertl-Wagner, Dan Rujescu, Martin Westhofen, Marianne Dieterich. Vestibular Disorders. Dtsch Arztebl Int. 2020; 24;117(17):300-310.

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